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アナニー初心者のノンケ童貞夢見がちサンジがゾロの性器を狙う話(結構下品です)

愛し上手は愛で死ぬ

「…ん…あ、ゾロ…」
 いつからかサンジが自慰に耽る時、決まってその名を口にするようになっていた。
 人よりいくらか色事に興味関心の強いサンジは今日も今日とて皆が寝静まった後の浴室で自らの性器を握っているのだが、興奮が高まるにつれ後ろの穴が疼き出すのを感じローションをたっぶりと垂らした指をそこに沈めていく。サンジを愛しむゾロに丁寧に解されながら恍惚とその名を呼ぶと、張り詰めた性器が身体を貫きサンジを快楽の渦に飲み込んでいく。
 当然それは妄想の中の出来事であり、現実のゾロはサンジを愛しんだりしない。そんなことをする必要もないし、して欲しいわけでもない。サンジがゾロに求めるのは唯一つ、サンジに極上の快楽を齎すためのそれだけなのだ。

 バラティエ時代、コック達とした猥談で男同士の性行為の話を聞いたことがあった。それはそういう趣味を持った者同士が行なうだけでなく、男所帯で手っ取り早く性欲を解消する方法でもあるというのでなかなかにインパクトのある話だったが、当時から無類の女好きだったサンジは自分とは無縁の世界の話だと思いながら雑学程度に大人コックたちの話に耳を傾けていた。だがその中でも男の尻の穴にはとんでもなく気持ちよくなるスポットがあるという話には大いに興味を引かれ、詳細に語られるそれを記憶し後でこっそり試してみたところ試行錯誤のさなか本当にびっくりするほど気持ちいい体験を得てしまい、以来サンジは前立腺の快感に目覚めてしまったのだ。
 とはいえ適当に前を扱けばそれなりに気持ちよくなれるお手軽オナニーとは違い、尻の穴で満足のいく快楽を得るにはコツが要り、多少手間をかけなければならない。コックとして忙しなく働く日々においては開発もあまり進まず、アナニー初心者の域を超えないまま目くるめく冒険の海に飛び出すこととなる。当初は船もまだ小さく、アナニーに集中できるプライベートな空間を確保することも難しかったため控えざるを得なかったのだが、狭い船上生活にも慣れた頃に得た新たな船には男数人が同時に入れる程度の広い浴室があり、クルーの生活空間ともほどほどに距離があるそこはいつしか格好のアナニースポットになっていた。夜深くゆっくりと湯船に浸かる時間が取れるときなどは隠し持っていたローションを持ち込み、至高のひと時を堪能していたのだった。
 アナニーライフが再開されてからしばらくの時が経ち、2年の修行期間中は仲間や船との別れも含め地獄を味わったものだが、再びサニー号に戻ってからは地獄体験の反動もあってか以前にも増して性欲を持て余し、初級アナニーでは物足りなさを感じるようになっていた。
 サンジは断じてホモではない。綺麗な女の子が大好きだし、もしいつか美しい女性と想いが通じ合う日が来たら、その柔らかい身体を紳士的に抱き、丁寧に愛を確かめ合うのだと思っている。残念ながら未だその経験は無いが、その時は当然サンジが女性の身体を悦ばせるのであり、間違っても自分の後ろのアナを弄って気持ちよくしてくださいなどと頼んだりしない。レディに尻を向けて情けない姿を晒すなどもっての他だ。一度覚えてしまった快楽には抗いがたいものがあるのだが、アナニーとセックスは別物として一人で楽しめる範囲で楽しめば良いと割り切っている。アナニーはあくまで自慰行為だ。きっと愛しい美女と理想的なセックスが叶う時はアナニーなんか比べ物にならないほどの快楽を心と身体で得られるものだと信じている。
 だがそんな相手もいないうちはアナニーが至高の手段であり、指の刺激だけでは物足りなくなった今、次の段階に進まなければならない。初級から一歩踏み出すべく、手頃なものの挿入を試してみようと思ったこともあったが、これといってピンと来るものが見つからず。適切なアダルトグッズを求めてその手のショップに入ってみたこともあったが、その店で見たものは露骨な男性器を模したものばかりでそれを所持するのは少々気が引けた。何かの拍子で仲間に見つかりでもしたら言い訳が出来ない。アナニーを他のクルーに知られるのはさすがに恥ずかしいし、万が一レディの耳に入りダンディな男のイメージを損なうようなことがあってはならない。ちなみに野菜などは異物挿入の定番だが食材をそのようないかがわしい目的で使う選択肢はコックのサンジには初めからない。
 そうなると結局、実物で試してみるという考えに至る。幸いこの船には実物はいくつかあるので不自由はしないのだが、その中で手っ取り早く使えそうなものと考えるとこれがなかなか難しい。獣で子供のチョッパーと骨しかないブルックは真っ先に除外するとして、ルフィとウソップは比較的頼みやすくはあるが、2年の時を経て男らしくなったとは言えサンジにして見ればまだまだメンタルがお子様だ。色っぽい大人の世界を教えるのは少しばかり気が引ける。頼れる兄貴のフランキーであれば歳を重ねている分知識も経験も豊富にあり、サンジのちょっとした好奇心もあっさり受け入れてくれるのではないかと思ったが、彼は生粋の変態でもあるため誤って特殊なプレイに発展する恐れもある。ただチンポを試してみたいだけの初心者にはちょっとハードルが高い。それに2年間で何があったのか知らないが完全に人間をやめた今の姿ではそれだけで特殊も特殊なのでやはり却下だ。
 消去法で残ったのがゾロだ。何かと気に食わない野郎ではあるが、同い年だし体格的にも丁度いい。相当の堅物で性的なことへの興味関心がまるでなさそうなのも都合がいい。サンジの好奇心を誰かにベラベラ喋ることもしないだろう。ゾロは穴に突っ込むだけなのだからいつものように適当に転がっていてくれれば良いし、なんなら突っ込んで気持ちよくなれるわけだし、気持ちよくなかったとしてもチンポを貸してくれたお礼にちょっと扱いて出してやるくらいのサービスはしてやってもいい。勿論ゾロがサンジの頼みを素直に聞くとも思えないが、寝込みでも襲ってしまえば朝勃ちしたそいつをちょっと借りるくらいはできそうな気がする。どうせあれは童貞だ。寝惚けた頭でなんとなく気持ち良いなぁなんて思っているところに「もうちょっと気持ちよくしてやるからそのままチンポ貸してくれ」とでも言ってやれば、単純なマリモのことだから気持ちいいからまあいいかともう一度ぬくぬくと寝直すだろう。男なら一度は憧れる寝起フェラのようなものだ。いけそうな気がする。
 ゾロに狙いを定めたサンジは早速次の大入浴大会の際、こっそり目当てのブツを確認してみた。元々サンジよりもガッチリとした体つきのゾロは修行期間を経て一層雄雄しさを増しており、男のサンジからしても良い身体と認めざるを得ないのがなんとも悔しいのだが、股間にぶら下がるブツもなかなかに立派なものだった。こいつが本領を発揮すると一体どんな形になって、どれだけの快楽を得られるのだろうという期待が俄然サンジのやる気を煽った。
 そうしてサンジはゾロのチンポを借りる隙を虎視眈々と狙っていたのだが、おかげでアナニー中の妄想にもゾロが割り込んでくるようになった。初めこそ実際にゾロを襲うときのシミュレーションのようなもので、ただ転がっているだけのぼんやりとした形の、辛うじて緑頭でゾロだとわかる程度の身体にサンジが跨るといった主役はあくまで性器であり、それが入ったらどんなに気持ちいいのだろうという想像が興奮を高めていたのだが、なかなかそれを実現できずにいるうちにオカズにもバリエーションを求めるようになる。
 サンジが跨るゾロがはっきりとゾロの姿を象るようになると、ゾロだったらどうするだろうと現実のゾロが取りそうな反応を想像しながら、童貞のゾロが未知なる世界に初心な反応を見せたどたどしくサンジの身体を悦ばせたり、情欲を煽られて本能をむき出しにサンジの身体を攻め立て悦ばせるゾロを妄想したりして、自らの身体を慰める。いつだってその逞しい肉体をもってサンジに快楽を与えるゾロは都合よく動き、ちょっと意地悪なときもあるが、サンジを組み敷くと時折柔和な声で「気持ちいいか?」などと耳元で囁いてくるので、たまらずゾロの名を呼ぶと、ゾロはさも愛おしそうに、満足そうに笑う。妄想の中のゾロの話だ。
 サンジは断じてホモではない。ちょっとばかし性欲が強いが、女の子が大好きで、セックスに夢を見ている。チンポを借りるだけの行為は本当のセックスではない。そこには燃えるような恋も愛しい美女も存在しないのだから、どこまでも自慰行為でしかないだ。



「…ん…く、」
 湯船に浸かり、縁に手をかけ尻を持ち上げる格好でサンジはいつものようにアナニーに勤しんでいた。
 オカズは最早当然のように妄想に現れるようになっているゾロで、既にゾロの指によってとろとろに解された…ことになっているが実際は自分で解したサンジの穴にいよいよ性器が挿入されようといったところで、興奮も最高潮に達そうとしていた。
「…んっ、ゾロ…ッ!」
「呼んだか」
 漏れ出る声を抑えながらも吐息混じりにその名を呼んだ瞬間、正面の扉がガチャリと開きこれからサンジの尻を突き上げるはずのゾロが真正面から堂々登場したので頭が真っ白になった。ゾロの名は確かに呼んだが、サンジが呼んだのは妄想の中のオカズゾロであり現実のゾロではない。
 偶然便所に用を足しに来たゾロの耳にサンジの声が届いてしまったのだろうか、そんなに大きな声を出していただろうかだとか、いつもは態々便所なんて使わないのに大の方かなどと考える余裕も無く穴に指を突っ込んだままサンジが固まっていると、そんな姿を見たゾロも固まっているようでしばし無音の時が流れる。
「…よ、呼んでねェよ。何勝手に入ってきてんだよ、さっさとドア閉めろバカ」
 そろりと尻を湯船に沈めながらようやくサンジが口を開くと、ゾロもまた思い出したようにドアを閉める。閉めるのはいいが、なぜだかゾロはこちら側にいる。
「おおおい、おい、そうじゃねェだろ、ドア閉めてもてめェが残っちゃ意味ねェだろうが、さっさと出てけよ」
 浴室は音が響くため声を張り上げるわけにはいかなかったが、なんとか平常心を装っていつもの調子で退室を促す。
 幸いギンギンに勃起しているサンジの性器は風呂の中で隠れてゾロには見えていないはずだ。うっかり尻の穴を弄っているところは目撃されてしまったかもしれないが角度的にズッポリイってるところは見えていないだろうし、性的なことには一切興味ありませんってな顔して硬派を気取っているゾロにはケツの穴を弄る行為が性的な快楽を得ることとは結びつかないだろう。ただちょっとケツが痒かったから掻いていたとでも思うに違いない。わざわざ湯船から浮かした状態で掻くのは明らかに不自然なのだが、今のサンジの頭ではそこまで思い至るわけもなく、人間追い詰められた時はつい自分の都合のいいように考えてしまうのだ。
 男が男の入浴シーンを見られたくらいで焦って追い出すことも不自然といえば不自然なのだが、その点は問題ない。浴室の扉にある小さな窓には除き防止のカーテンが備え付けらており、裸を見られて恥ずかしがるような繊細な野郎はこの船にいないためそれはほぼ女性陣専用になっているのだが、サンジの場合よくこのようなふしだらな行いを働くので毎度キッチリ閉めている。アナニーするから閉めているとは誰も思わないだろうが、そうやって普段から見られたくないアピールをしているのだから慌てて追い出そうとしても然程不自然ではないだろう。サンジは無神経な男連中の中では比較的繊細な方に分類されているはずだ。そして性欲が強い。
「いや、呼んだだろ」
「呼んでねェって!何かの聞き間違いだろ?だいたい、おれがてめェになんの用があるってんだよ、見ての通りおりゃ今バスタイムを満喫してんだ。レディならともかく脳筋マリモに用なんかあるわけねェだろ。さっさとクソして寝ろ」
 一刻も早い退場を願うサンジは頭部以外を湯船に隠し、正面に立つゾロを睨みつけているのだが、何を考えているのかこれがなかなか出て行く気配を見せない。その場に居座るゾロは妙な顔をしてサンジを食い入るように見つめている。その視線が妄想の中のゾロと重なり妙にドキドキする。これではサンジの股間の勃起も治まらないため湯船を出るわけにもいかない。もう少し踏み込まれたらゾロにばれてしまう。
 というか、これはもしやばれているのだろうか。
 サンジが露骨に焦ってゾロを追い出そうとするのもだから、さすがの単細胞とて訝しんでいるのではないか。
 オナニーするのは男なら普通だ。好んで見せたいものでもないし、見られて恥ずかしがるのもまあ普通だ。今更思い出したが後ろを解すために持ち込んだローションも堂々と浴槽の縁に鎮座している。そんな状況でゾロは自分を呼ぶ声を聞いてしまった、と思っている。だとしたら、自分をオカズにされたことを気味悪がり何してんだてめェ、ふざけんなコラと罵声の一つも飛んできていいはずで、そうしないのが不思議なのだがさすがに自分がオカズにされているなどと考えもしなかっただろうから、ゾロも動揺しているのだろうか。だがそんな事実はない。本当はあるのだが、今はないことにしようとしているのだからないと言ったらない。
 サンジは次に打つ手を考える。開き直って今オナってるから邪魔すんなと白状してしまえばいいのかもしれない。それがアナニーであることとそのオカズがゾロだということさえ悟られなければいいのであって、名前を呼んだ件は聞き間違いで押し通すしかない。ゾロだってちょっと考えれば女好きのサンジが筋肉野郎をオカズにするわけがないと分かるだろう。思い返してみても自分はやっぱりそれほど大きな声でゾロを呼んではいない。そもそもゾロにそれが聞こえてしまったのか不思議なくらい、普段から気を遣って声を押し殺していたはずなのだ。十分誤魔化せる範囲だ。よしこれだ、これで行こう。これしかない。
 ようやく正解の回答を導き出したサンジが口を開こうとすると、出鼻を挫くように先にゾロが一つため息をついた。ようやく状況に気付いてこれからサンジを非難するのかと恥ずかしい告白を一度飲み込み様子を見てみると、なんとゾロは徐に下穿きをはだけさせ性器を露出しだしたのだから驚いた。
「ちょ、てめ、な、イキナリ何出してんだよ!?」
「しょーがねェだろ、丁度いいからおれもここで出してく。すぐ洗えるしな」
 などといいながらゾロは壁に軽く背中を預けるとその凶器を緩やかに扱き出したのでまた驚いた。なにがしょーがなくてどう丁度いいのか、わけもわからず呆然とその光景を眺めてしまう。恐ろしい重量感で上を向いた赤黒いそいつは血管を浮き上がらせバッキバキに勃起している。想像していたよりもずっと凶悪なツラを魅せるそれにサンジは思わず息を飲み、朦朧とした頭でゾロを見上げるとその顔は風呂の熱のせいかそこはかとなくほんのり赤く染まっているように見え、常に憎たらしいくらい堂々としたゾロからはちょっと想像できない表情に尻の穴がきゅんとした。
 これはもしかしてもしかすると、ゾロはサンジの痴態を見て、というか見られてはいないことになっているので想像して興奮したのだろうか。
 だとしたら話は変わってくる。サンジはゾロの性器をずっと狙っていたのだ。それが今目の前にあり、惜しげもなくそいつを膨らませている。だとしたら今はそれを借りる最大のチャンスなのではないか。散々脳内でシミュレートしてきた寝込みを襲う朝勃ちフェラ作戦とは大分違う形にはなったが、今なら自然にその勃起チンポを借りることができそうな気がする。
「お、おい」
「なんだ」
 だが既に自分で処理しだしているそれを何と言って借りるべきか。このパターンは全く想像していなかった。想像できるわけもない。そっけなく答えるゾロの視線がサンジを射抜く。眉間に皺を寄せた表情は見慣れたものだったが、今は少し普段とは違う印象を受けるそれに、人のアナニーを邪魔しておいて何を一人で気持ちよくなろうとしてんだと言いたい気分だったが、快くそれを貸してもらいたいサンジはその言葉をぐっと飲み込んでその方法を思案する。
 今更サンジがオナニーしていた事実を告げ、ゾロの勃起チンポを強請ったとして、先手を打たれてしまった今こいつはきっと凶悪なそれを見せ付けながら「これが欲しいのか?」と人を食ったように口元をゆがめるに違いない。それが欲しいのは紛れも無い事実なのだが、それではサンジが下手に出ざるを得ず確実に主導権を握られてしまう。用があるのはその勃起チンポだけでオラオラと攻め立てる憎たらしい野郎はいらないのだ。ゾロ本体は妄想の中のゾロで間に合っている。
 ならば、ゾロが勝手にサンジの入浴シーンに興奮したことにするのが最も相応しいだろう。ゾロからサンジの穴を求め、挿れさせてくれと懇願してくる状態に持っていけば主導権も勃起チンポもサンジのものだ。そうしてサンジの脳内ですくすく育ったちょっと甘い雰囲気のゾロを想像しながらあの凶悪チンポを堪能するのだ。ゾクゾクした。

 徐にサンジが立ち上がると、それまで湯船に隠されていたサンジの肢体がゾロの目に晒される。動き出したサンジにゾロの性器を扱く手が止まり、オカズを捕えていた目が見開かれるとサンジの身体を上から下へ舐めるように見回してくる。ゾロが現れる前から勃起していた性器をわざとらしく撫でて見せると、ゾロの視線も誘われるようにそこへ止まった。しっかり食いついてきたことに気を良くし、ゆっくりと背後の窓に背を預ける。ひんやりとした感覚が身を震わし、悩ましい吐息が漏れた。
「んっ…」
 目を見張ってサンジを眺めるゾロの喉が鳴ったのがわかり、間違いなくゾロはサンジを見て興奮しているのだと確信を持つ。ゾロの熱を孕む視線を感じながら、もったいぶるような緩慢な動作で片脚を軽く折って持ち上げると後ろ手を回し、ここに入れるべき穴があるのだと主張するように、十分に解されていたそこへ指を埋めて見せた。
「ん…あっ…」
 わざとらしく鼻にかかる声を漏らし、ゾロに聞こえるようにぐちゅりと音を立てながら軽く中を掻き回すと、食い入るような視線をサンジに向けていたゾロの眉間の皺が一層深くなる。徐々に余裕を失っていくように表情を歪ませるゾロを一瞥し、にんまり笑って見せると、挑発にまんまと乗せられたゾロは急速に動きを取り戻す。
 ゾロはブーツを履いていることも気にせずジャブジャブと湯船に入り、その切羽詰った表情がサンジの間近に迫りドキリと心臓が跳ねる。思惑通りにことが進んでいるとはいえ、サンジの顔の横に手が置かれ荒立つゾロの息が顔にかかるとゾクリとした期待が背中を走った。
「このエロコックが…!なんちゅー誘い方してんだよ」
「…別に?誰もてめェなんか誘ってねェよ。つーかぶっちゃけ、おれはてめェが来る前からこうしてたんだよ。なのにてめェと来たら無遠慮に入ってきやがってよ。それどころか一人でおっぱじめやがって。勝手に人をオカズにしてんじゃねェよ。まさかてめェにそんな趣味があるとは思わなかったぜ。野郎の身体見て興奮するなんて変態かよ」
 後半のセリフは盛大なブーメランなのだが、この場はあくまでゾロがサンジに欲情したというていを崩さないように余裕ぶってみせる。だが距離を詰められた身体が僅かに触れ合い、サンジの方が少しばかり脚が長いためちょっと腰を浮かせばそのまま飲み込めてしまいそうな距離にゾロの性器が当たって正直気が気じゃない。さっさとこいつを飲み込んでしまいのだ。
「あァ、そうだな。前からてめェ見てっとムラムラしてしょうがなかったのは事実だ。変態と言われちまえば返す言葉もねェ」
「へ?」
 しかしゾロはこれを意外にも素直に肯定するどころかきっぱりと欲情宣言をしてきたので、下腹部に迫る勃起チンポに意識を奪われていたサンジは間の抜けた声を上げてしまった。ゆるゆると下がる脚もちゃぽんと間抜けな音を立てる。ゾロは今確か、前から、とかなんとか言わなかっただろうか。つまりゾロがサンジで勃起したのは今日が偶然たまたまうっかりの事ではなかったことになる。
「だが”そういう趣味”はてめェも同じだろ」
「…なんのことだよ」
「しらばっくれんな。おれをオカズにしてただろ」
 事実を指摘されギクリとする。だがそれはゾロの聞き間違いだったことにしなければならない誤った事実だ。
「そりゃだから、てめェの聞き間違いだっつっただろ。てめェと違ってノーマルなんだよ、誰が好き好んで筋肉マリモなんかオカズにするか。おれァちゃんと綺麗なお姉さまにだな、」
「……聞いてたんだよ」
「あ?なにを」
「だからてめェがさっきまで風呂でシコってた声を聞いてたっつってんだよ」
「あァ!?…え。き、聞いてたって…?」
 恐る恐るサンジが問うと、ゾロはここに至る自らの行いを正直に告白した。
 曰く、展望室から浴室に向かうサンジを見つけたゾロはオカズを得るべく覗きをはたらこうとしたらしい。だが浴室の小窓は生憎カーテンが閉まっていたので、仕方なく便所で用を足したタイミングで風呂上りのサンジと鉢合わせた風を装おうと出待ちしようとしたところ、中から微かに呻き声のようなものが聞こえた。体調でも悪いのかと思い耳をそばだてると、悩ましい吐息交じりにゾロを呼ぶ声が幾度も聞こえ、もしやサンジは自分をオカズに自慰行為をしているのではないかと思い至り、これはと思って突入に踏み込んだらしい。そこで見たのはサンジが尻の穴を弄ってる姿だったので面食らってしまったが、体調は悪くなさそうだし、サンジがゾロを呼んで喘いでいたのは確かだったので動揺と興奮の中でなんとかサンジの自慰とオカズを白状させたかったのだが、しらばっくれて追い出そうとするのでとりあえず格好のオカズを前に一発抜くことにした、とのことだった。自分が先にして見せれば頑ななサンジも正体を表すかもしれない、と思ったそうだ。
 驚きの真相にサンジは愕然としていた。そこまでするゾロの執念と意外な変態性にも驚かされたが、うっかり偶然を装うなどという小賢しいマネを働いたりサンジの自白を促す策を練る頭を持ち合わせていたことにもまた驚かされた。どうせ童貞だと高を括りながらまんまと嵌められてしまったサンジはゾロを侮りすぎていたらしい。いや、童貞だからこその執念なのかもしれない。それはサンジとて同じなのだが。
「てめェは男にゃ微塵も興味ねェと思ってたから隠し通すつもりだったんだがな。…だがてめェも同じなんだったならまァ、良かったじゃねェか」
 心境を吐露し、どこかすっきりとしたようにゾロが笑う。状況に似合わず無邪気に笑って見せるので、ちょっときゅんとしたし意地を張るのがバカらしくなってしまった。ゾロにはとっくにバレていたのだ。それをしれっとなかったことにしながらも浅ましく勃起チンポを手中に収めようとするサンジはさぞ滑稽に映ったことだろうが、それを論って馬鹿にするでもなく、結果オーライとでも言うようにカラッとした態度で度量の深さを見せ付けてくるのだから、これ以上無駄な抵抗を続けるのはあまりにも惨めで無様で情けない。
 良かったと言われてみれば確かにこれで良かったのかも知れない。今ならサンジの兼ねてからの獲物であった勃起チンポを難なく借りることができるし、寝起きフェラのサービスをする必要もなくなる。試してみて具合が良ければこの先も継続的にそいつを借りることもできるだろう。確実にアナニーライフがランクアップする。サンジにとっても喜ばしいことじゃないか。
 ゾロがこれだけ素直に話してくれたのだから、サンジもたまにはその笑顔に応えてもいいのかもしれないと思った。なによりゾロに見つめられると身体が疼いて仕方が無いのだ。
 準備は万全に整っている。改めて二人の間にあるそいつを見下ろすと、想定よりずっと大きく怒張しておりサンジのものと比べても結構な差がある。こいつを上手く収めるにはもう少し解してしておく必要がありそうだ。未知なる快楽の可能性に胸をときめかせながら後ろ手に穴を弄ろうとすると、視線を降ろしていたサンジのあごを軽く持ち上げられ、真剣な眼差しのゾロと目が合った。
「いいんだな?」
「…あァ、ここまで来たら嫌とは言わねェよ。白状しちまうと、てめェが聞いた通りおれもてめェをオカズにしてた。まぁこりゃただの好奇心なんだが、おれァてめェの」
 サンジが言い終わるより早くゾロの唇でその口を塞がれていた。あれ?と思っているうちにゾロの舌がサンジの唇を舐め、にゅるりと口内に進入してくる。いやちょっと待て、なんでキスなんかしてんだ?などと考える思考をゾロの無遠慮な舌が強引に絡め取っていく。ぼんやりとその快楽を享受しているとゾロの無骨な手がサンジの性器に触れ、ゾロのものとまとめて扱き始めたのでいややっぱちょっと待て、と我に返ってなんとかその肩を押し返す。挿れる前に出してしぼんでしまったら元も子もないのだ。
「ッおい…!何してんだコラ!」
「あ?てめェも良いつったろうが」
「おれが許可したのは、挿れていいっつーことであってだな」
「んなに焦んなくてもいいだろ。まだおれァてめェの身体を味わってねェんだ」
「だから、挿れて味わえばいいだろうが。こっちはさっきから準備万端なんだよ」
「…コックてめェ…普段から愛だの恋だのうるせェ癖にセックスは突っ込むだけだと思ってんのかよ…。まさか経験ねェのか?」
「あァ!?」
 童貞だと思っていたゾロに童貞を指摘されるのみならず、その詳細すら知らない哀れな男だと思われたことにカチンと来たが、それよりまずこの話の噛み合わなさは一体何なのだ。セックスの何たるかはゾロなんかより何倍も理解している自信があるし、夢いっぱいの理想もある。そのシミュレーションだって以前は良くしていた。だがサンジはゾロとセックスがしたいわけではないのだ。興味あるのはその勃起チンポのみで、こんな風にキスから始める丁寧なセックスを望んでいるわけではない。サンジは女の子が大好きなのだ。ステキなレディとの愛が溢れる幸せいっぱいなセックスをこんな筋肉マリモとしたいわけではないはずなのだが。
「あ、あのよゾロ…ひとつ確認しておくがてめェ…まさかおれに惚れてんのか…?」
「あ?何言ってんだてめェ、さっきそう言ったろ」
「あァ!?いっ、言ってねェよ!んなことはひとっっっことも言ってねェ!」
「そうだったか?」
「てめェはおれを見てムラムラするとしか言ってねェだろ!」
「ああ…まァ似たようなもんだろ」
 ちょっとムッとしたような、それでいてどこか照れくさそうに衝撃の事実を告げるゾロにサンジは再び絶句する。つまりゾロはサンジが好きで、サンジも同じ気持ちだったと思っているということなのだが、真実はそうではないのだ。そんなちょっと可愛い顔をして見せても、女の子大好きなはずのサンジがゾロに惚れるなどあるわけが。
「…言葉にしねェと不安か」
「…いやそうじゃねェ、そうじゃねェよ…」
 やっとの思いで否定の言葉を口にするも、まるで噛み合っていないのに無駄に誠実に向き合おうとしてくるゾロに見つめられると頭がぼんやりとして、ちっともうまく回ってくれやしない。さっきのキスでまんまと溶かされてしまったのだ。
「コック」
「……なんだよ…」
「悪ィ、もう我慢の限界だ」
「む!」
 そうして再び噛み付くようなキスをされ、とろけた頭がなんとなく気持ちいいなぁと思っているとゾロの手がサンジの髪を情熱的に撫でるので、未知なる快楽を貪欲に求める身体は抗う術を奪われてしまうのだ。

 そこにある想いの違いはあれど、ゾロの童貞とは思えぬ丹念な愛撫はサンジの身体をどうしようもなく喜ばせ、夢にまで見た勃起チンポは想像以上に気持ちよすぎて死んでしまうかと思った。サンジの思い描く、心から愛し合ったレディとの理想的なセックスなど経験しまったら本当に死んでしまうのかもしれないと思うと、案外このぐらいが最高に丁度いいのかもなぁ、などと考える余裕はまるでなかったのだが、時折ゾロがまるで愛おしいものを見るかのように柔和に微笑むと、心も身体も満たされるような感覚がして、サンジもそれがどうしようもなく愛おしいもののように思えてしまうのだった。

END